- 米国上場のXRP現物ETFは11月中旬のローンチ以来、一貫して純流入を継続し、累計純流入額が10億ドル(約1550億円、1ドル155円換算)を突破。
- 市場全体の下落にもかかわらず、XRP ETFは安定した投資資金を集めており、投資家が短期的な価格変動よりもアクセス性と構造に関心を持っていることを示している。
- この傾向は、暗号資産ETFへの投資が変化していることを示唆しており、ビットコインやイーサリアムからXRPなどの代替資産へと資金が分散している。
米国上場のエックス・アール・ピー(XRP)現物ETF(上場投資信託)は、11月中旬のデビュー以来、全ての取引日で純流入を記録し、累計純流入額が10億ドル(約1550億円)というマイルストーンを突破した。この連続記録は、同期間に資金流出した取引日が複数日あったビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のETFとは一線を画している。
SoSoValueのデータによると、XRP現物ETFの純資産総額は12月12日時点で約11億8000万ドル(約1829億円)に達し、累計純流入額は約9億7500万ドル(約1511億2500万円)に増加した。これらの商品は11月13日の上場以来、30営業日連続で純流入を記録している。
[SoSoValue]
このマイルストーンは、リスク資産にとって厄介な時期に訪れた。投資家が金利見通し、企業収益のモメンタム、テクノロジー株主導の上昇の持続性を再評価する中で、世界市場におけるリスク回避ムードの広がりとともに、暗号資産(仮想通貨)価格は下落している。
ビットコインは直近の取引で下落し、イーサリアムも弱含みで推移しており、主要アルトコインの大部分がこの下落に追随している。
[ビットコインETFは同期間に複数日で資金流出を記録(SoSoValue)]
だが、XRP ETFというラッパーは引き続き資金を引き寄せており、資金流入が、短期的な価格変動よりもアクセス性と構造によって牽引されていることを示唆していると、一部のアナリストらは述べている。
「ETFの急成長は、資産が突然良くなったことを意味するわけではない。アクセスが容易になったことを意味する」とQuantum Economics(クオンタム・エコノミクス)の創業者で、eToroの元シニア市場アナリストであるMati Greenspan(マティ・グリーンスパン)氏はメールで述べた。「特に短期的な価格変動よりもコンプライアンス、カストディ、流動性を重視するアロケーターにとって、トークンよりもラッパーのほうが重要だ」。
グリーンスパン氏はさらに、ETFへの資金流入は、短期的な取引シグナルではなく資産配分の決定を反映しているため、市場の下落局面でもプラスを維持し得ると付け加えた。投資家が日単位ではなく四半期、あるいは年単位で考えている場合、価格が軟化した際にエクスポージャーを増やす可能性がある。
この見事な連続流入は、XRPが、より成熟した米国のビットコインおよびイーサリアム現物ETFとは異なる動きを見せていることを浮き彫りにしている。暗号資産ETFの資産の大部分を占めるこれらの商品は、マクロ経済の変動や株価のボラティリティにより敏感で、ここ数週間は流入が途切れ途切れのパターンを示している。
これに対してXRP ETFは、規模は小さいもののより安定した配分を集めている。これは、より「設定して保有する(set-and-hold)」タイプの購入者層、あるいは規制された暗号資産エクスポージャーの中でXRPを差別化された投資枠として利用する投資家の存在を示唆している。
「機関投資家は、既存のETFの枠組みに適合し、明確な機能的メリットをもたらす資産を優先している」と機関投資家向けにXRPへのエクスポージャーを提供するEvernorth Holdings(エバーノース・ホールディングス)のCEO、Asheesh Birla(アシーシュ・ビルラ)氏は述べた。
より広い意味では、暗号資産ETFが第2段階に入りつつある可能性があり、基礎となる現物市場が不安定な状態が続いている中でも、資産がもはやビットコインとイーサリアムだけに集中するのではなく、規制されたラッパーにパッケージ化できる代替資産へと分散し始めている。
|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:XRP ETFs pass $1 billion mark with no outflow days since launch
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