●BTCはETF化で株式と切り離され、リスクオンでも資金が来にくい構造。
●SSR低下は「資金は残っているが動かない」状態を示す。
●相場はマクロではなく、内部需給と時間調整が主導。

現在のビットコイン市場は、下落トレンドの中で推移するレンジ調整フェーズにあり、現時点では弱気が条件付きで優勢と整理できる。ただし、売りが連鎖する局面には至っておらず、価格と内部構造の乖離が続いている。

2025年後半にビットコインとS&P500の相関が低下した背景には、複数の構造要因が重なっている。現物ETFの普及により、ビットコインへの資金流入の性質が変わった。以前のように株式市場の上昇に合わせて裁量的に買われるのではなく、事前に決められた配分ルールに基づいて投資される資金が中心となっている。その結果、株価が上昇しても、ETFを通じてビットコイン需要が自動的に増える構造ではなくなった。

第二に、デリバティブ市場では、取引の証拠金がBTCではなくステーブルコイン建てに移行した。その結果、BTCを担保にした高レバレッジ取引が減少し、株式市場の変動が強制清算を通じてビットコイン価格へ波及しにくくなっている。

この構造変化はStablecoin Supply Ratio(SSR)にも表れている。添付のオンチェーンデータでは、BTC価格が12万ドル近辺から下落する局面においてもSSRは一貫して低下しており、買い余力となるステーブルコインが市場内に滞留していることを示す。資金は逃げていないが、BTCが選好されていない状態である。

加えて、取引所残高の減少や長期保有者による計画的分配、STH-SOPRが示す短期資金の退出により、株式市場と連動しやすい参加者層が後退した。結果として、ビットコインはマクロよりも内部需給と時間軸で価格が形成される局面に移行している。

現時点では、弱含み推移がベースシナリオである。ただし、SSRの反転や短期資金の再流入が確認される場合、この見方は見直す必要がある。

オンチェーン指標の見方

Stablecoin Supply Ratio(SSR)とは、ビットコインの時価総額を、全ステーブルコインの時価総額で割った指標。市場内で「BTCと待機資金(ステーブルコイン)の力関係」を示す。SSRが高いほど買い余力は小さく弱含み、低いほど待機資金が多く、将来的な買い圧力が高いと解釈される。

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