プーチン大統領、米国とザポリージャ原子力発電所のマイニング事業について協議

米国とロシアがザポリージャ原子力発電所のマイニング事業について協議

ロシアと米国は、ザポリージャ原子力発電所の共同管理と、その電力を仮想通貨マイニングに利用する可能性について協議に入ったと報じられている。

ロシアのウラジーミル・プーチン（Vladimir Putin）大統領は、経済界代表との会合で、ザポリージャ原子力発電所をめぐる状況について言及。プーチン大統領によると、ウクライナの参加なしに同発電所を共同管理する案が米国と協議されていると現地メディアが2025年12月25日（木曜日）に報じた。

さらに、大統領は、米国がザポリージャ原子力発電所でのマイニング事業開発に関心を示していることを明らかにすると同時に、米国主導の下で両国は、ウクライナへの電力供給についても検討しているという。この発言は、ロシアのビジネスリーダーたちとの会合で行われ、米国・ロシア間の和平合意の可能性に関する広範な交渉の一環として行われたものだ。

大統領は、ウクライナ人専門家が引き続き同発電所で働いているものの、現在はすでにロシア国籍を取得しており、ロシアのパスポート所持者だと述べている。

ザポリージャ原子力発電所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所であり、ドニエプル川左岸のエネルゴダール近郊に位置。この発電所は、ロシアの全面侵攻によって操業が中断されるまで、ウクライナの電力供給の20%以上を供給。軍事作戦開始直後の2022年3月にこの原子力発電所は占拠され、ウクライナの電力網への電力供給が停止。同月にこの原子力発電所の支配権をロシア側が握っており、現在はロスエネルゴアトム株式会社（ロスアトム傘下）の管理下に移管されているとのことだ。

なお、報道には対象となる仮想通貨やマイニング事業者、今提案が正式な交渉段階に達したかどうかは明らかにされていない。

原発の利権に群がる各国

ザポリージャ原発の運営権は現在も未解決のままであり、関係者間で大きく異なる提案が提示されている。

報道によると、ロシアは米国と共同管理協定を協議しており、その枠組みではウクライナが関与しない予定で、この枠組みの下、ロシアと米国が運営と発電量の配分を監督する案が浮上している。また、他の報道によると、代替的な体制が示唆されており、同提案の進展は不透明なままである。BBCによると、米国はロシア、ウクライナ、米国がそれぞれ原子力発電所の権益を均等に保有するモデルを提案し、ロイター通信は、ウクライナが米国と50対50の合弁事業を提案したと報じている。

それぞれの提案は、エネルギー分配、主権、安全保障にそれぞれ異なる影響を与え、原子力発電所の支配権を持つ者は、ウクライナ南部の主要電力源を掌握し、地域の電力網の安定・不安定化に中心的な役割を果たすことになる。

ザポリージャ原発は軍事リスクを理由に、繰り返し閉鎖や待機状態に置かれおり、国際的な規制当局が安全上の懸念について警告を発してきた。ウクライナはロシアがこの施設を軍事資産として利用していると非難しており、国家エネルギー資産に結びついたマイニングインフラの誘致実現可能性は低い。