米上院常設調査小委員会(PSI)の少数党筆頭委員を務めるリチャード・ブルメンタール上院議員は24日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのCEOリチャード・テン氏に書簡を送り、同社に対する予備的調査の開始を明らかにした。書簡では、バイナンスのプラットフォームがイランおよびロシア関連主体による制裁回避に利用された可能性を指摘している。
複数の米主要メディアの報道によれば、バイナンスの内部コンプライアンス担当者は昨年、同社のパートナー企業を通じてイラン政府関連主体との取引が行われていた可能性を把握したとされる。報道では、イスラム革命防衛隊(IRGC)に関連するとされるウォレットや、ロシアの制裁回避に関与するとみられる石油輸送ネットワークに関連する取引が確認されたとも伝えられている。対象となる送金総額は約17億ドル(約2,645億円)規模に上るとの報道もある。
書簡によれば、こうした問題を内部で指摘したコンプライアンス担当者らはその後、停職または解雇されたとされる。一方で、これらは現時点で報道ベースの情報であり、違法性が公式に認定されたわけではない。
バイナンスは2023年11月、米司法省および米財務省との間で、制裁およびマネーロンダリング対策に関する問題を巡り、コンプライアンス監視員の設置を条件とする和解に合意している。また、創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は有罪答弁を行い、禁錮4カ月の判決を受けた経緯がある。
今回の書簡でブルメンタール議員は、2023年の和解後も適切な内部統制や監視体制が機能していたのか確認する必要があると指摘。PSIは3月6日までに関連記録の提出を求めている。
暗号資産取引所を巡る制裁対象国やテロ関連組織による資金移動への悪用リスクについて、同議員も書簡の中で深刻な懸念を示している。今回の調査は、こうした懸念に対する監督強化の一環とみられ、今後の米国における規制動向にも影響を与える可能性がある。
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