多くの人々にとって、GENIUS法の成立は中央銀行デジタル通貨(CBDC)創設への道を閉ざした出来事であった。ステーブルコインはデジタルでありながらも、政府発行のデジタルドルとは対照的に、民間通貨として宣伝されてきた。
ブラウンストーン研究所のフェローであり、暗号資産業界への強硬な批判者であるアーロン・デイ氏は、この禁止措置にもかかわらずGENIUS法が政府による監視強化を容易にすると主張した。
GENIUS法は、連邦準備制度がCBDCを個人や第三者に直接発行することを明示的に禁止している。その目的は、政府発行のデジタルドル創設をあらゆる手段で阻止することにある。
2025年7月の可決は、トランプ米大統領がCBDC創設に反対するという選挙戦初期の公約と合致していた。同氏はCBDCを「専制」の一形態であると強調していた。
デイ氏によれば、ステーブルコインとCBDCは本質的に同じものであり、唯一の違いは前者が民間発行、後者が中央銀行による発行という点のみとされる。しかし、政府が関与する限り、監視の度合いは変わらない。
同氏が強調するのは、プライバシーを重視する人々が本当に警戒するのは、政府機関がマネーをプログラムし、追跡し、検閲できることであるという点である。
こうした考えから、同氏はGENIUS法を「バックドアCBDC」と位置づけている。とくにステーブルコインの爆発的成長を踏まえ、この問題の緊急性を指摘している。
同氏によれば、こうした監視の枠組みはGENIUS法成立前からすでに存在していた。今回成立した法律は、既存体制にさらなる段階を加えるものに過ぎない。
デイ氏は、現在流通するドルの大半がすでにデジタルであると指摘する。
具体例を問われた際、同氏は銀行秘密法(BSA)を挙げた。この法律は1970年に制定され、金融機関はマネーロンダリングやテロ資金供与、その他不正行為の検出と防止のため、政府機関に協力することを求めている。
デイ氏によれば、BSAにより政府機関は状況次第で過剰介入できる仕組みとなっている。
こうしたツールは公共の安全のためにも使われているが、政府機関は特段の承認なしに運用できる。
デイ氏は具体例として、2025年3月に米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が、米南西部国境でのマネーロンダリング対策のため地理的ターゲティング命令を発出した事例を挙げた。
同命令の一環として、FinCENは30の郵便番号における送金サービス事業者に対し、200ドル超の取引を報告することを義務付けた。
こうした例を念頭に、同氏は監視の枠組みはすでに存在すると論じている。GENIUS法は単に議会がステーブルコインを監督できるようにするものであり、CBDCと同様にデジタル通貨への統制拡大をもたらす可能性も指摘される。


