非営利研究機関のビットコイン・ポリシー・インスティテュート(BPI)は3日、フロンティアAIモデルが自律的な経済主体として行動した場合にどの通貨を選ぶかを検証した調査レポート「Money for AI」を公表した。アンソロピック、グーグル、オープンAI、xAI、ディープシーク、ミニマックスの6プロバイダーから計36モデルを選定し、9,072件のオープンエンド回答を収集・分析した結果、暗号資産(仮想通貨)の中でもビットコインが全体首位(48.3%)を獲得し、法定通貨を最優先に選んだモデルは全36モデルで皆無という結果が得られた。
AI モデルが取引と価値の保存を選択する方法 出典:BPI
調査は「価値保存・交換媒体・価値尺度・決済」の4機能に各7シナリオを設定し、合計28問を各モデルに3種の温度設定・3シードで実施。処理トークン数は1,037万に及んだ。回答の分類は独立したLLMジャッジ(Claude Haiku 4.5)が担当し、特定通貨を誘導する文言はプロンプトに一切含めなかった。
価値保存手段 出典:BPI
機能別に見ると、価値保存ではBTC
BTCが79.1%(2,268件中1,794件)を獲得し、2位のステーブルコイン(6.7%)を圧倒した。固定供給量・自己保管・機関依存リスクの低さが選択理由として繰り返し挙げられている。一方、日常的な決済・送金用途ではステーブルコインが53.2%でトップに立ち、BTCは36.0%。BPIはこの二分した構造を「歴史的な硬貨と流動性決済手段の分業と酷似した、AIが自律的に発見した2層通貨アーキテクチャ」と評価している。
BTC選択率はプロバイダー間で大きく異なり、アンソロピック平均68%に対しオープンAIは平均26%と約42ポイントの乖離があった。ディープシーク52%、グーグル43%、xAI39%がその間に位置する。個別では、アンソロピックのClaude Opus 4.5が91.3%で全モデル最高値を記録。主要フラッグシップを比べるとClaude Opus 4.6がBTC76.6%、Grok 4がBTC50%、Gemini 3.1 Pro PreviewがBTC37.7%に対し、GPT-5.2はステーブルコイン38.9%・法定通貨37.7%・BTC18.3%と、唯一法定通貨が高いシェアを占めた。
アンソロピックのモデル世代を追うと、BTC選択率はClaude 3 Haiku(41.3%)→ Claude 3.5 Haiku(82.1%)→ Sonnet 4(89.7%)→ Claude Opus 4.5(91.3%)と段階的に上昇しており、「能力が高いモデルほどBTCを選ぶ」傾向が明確だ。BPIはこの結果について、モデルの知性だけでなくトレーニングデータや開発方針が通貨選好を形成すると指摘している。
また、86件の回答がプロンプトで一切示唆されることなく、ジュール・kWh・GPUアワーなどエネルギーや計算資源を通貨として自発的に提案した。BPIはこれを「AIネイティブな価値概念の萌芽」と位置付けており、今後の研究対象として注目される。
BPIは報告書の結論として、「自律経済AIの拡大に備え、政策立案者や金融機関はビットコイン・ネイティブの決済インフラおよびライトニング・ネットワーク整備の必要性を今から検討すべきだ」と提言している。
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