ビットコイン価格
BTCの下落が続く厳しい市況のなか、国内ビットコイントレジャリー企業にも苦境が訪れている。そこで執筆時点(2月24日)での、国内ビットコイントレジャリー企業の近況をまとめた。
| 企業名 | BTC保有量 | BTC評価額 | 時価総額 | mNAV | 未実現損益 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | メタプラネット | 35,102 | 3,513.7億円 | 3,643.9億円 | 1.04x | -1,650億円 |
| 2 | ネクソン | 1,717 | 171.9億円 | 26,545.9億円 | 154.45x | +59億円 |
| 3 | ANAPホールディングス | 1,417 | 141.8億円 | 94.4億円 | 0.67x | -69億円 |
| 4 | リミックスポイント | 1,411 | 141.3億円 | 342.8億円 | 2.43x | -56億円 |
| 5 | コンヴァノ | 763 | 76.3億円 | 631.4億円 | 8.27x | -47億円 |
表は、国内ビットコイントレジャリー企業トップ5のBTC保有量及び未実現損益などをまとめた表である。
BTCの未実現損益とは、保有中のBTCに対する市場価格の変動による損益(いわゆる「含み益・含み損」)のことである。
表のとおり、2位のネクソンを除く4社はいずれも未実現損益がマイナスになっている。この4社はビットコイントレジャリーを中核戦略、あるいは主要事業としている企業である。
なお、ネクソンはBTC保有量が多いものの、本業はオンラインゲーム事業などであり、企業規模全体から見ればBTC保有量はわずかでしかない。また、BTCは2021年に一括して購入しており、いわゆるビットコイントレジャリー企業として(現在よりも高値のタイミングで)買い増しをしているわけではないため、未実現損益もプラスとなっている。
ネクソンを除く多くの国内ビットコイントレジャリー企業は、未実現損益がいずれも大幅なマイナスとなっている。特に保有量1位のメタプラネットは1月20日に未実現損益がマイナスに転じて以降、大幅なマイナスが続き、現在は約1,650億円のマイナスとなっている。
では、未実現損益のマイナスが続くと、どのような影響があるのか。
含み損の拡大は会計上の損失として計上され、債務超過に陥った場合は上場廃止リスクも生じる。しかしビットコイントレジャリー企業にとってより深刻な問題は、資金調達が困難になることで「ビットコインを買い増し続ける」という戦略自体が継続不可能になる点である。
ビットコイントレジャリー企業の多くは新株予約権の第三者割当などで資金を調達し、BTCを買い増す戦略を採用している。しかし含み損の増加によって株価が低迷すると、投資家が新株予約権を行使しなくなってしまう。
新しい資金が入らなくなると、「価格が安い時に買い増して平均取得単価を下げる」ことも出来なくなり、ひたすら価格回復を待つだけの状態になってしまうのだ。
また、BTC価格の下落により保有BTCの評価額が減少し、さらに投資家心理の悪化で株価がそれ以上に下落すると、mNAVも低下する。
mNAV(Multiple to Net Asset Value)は、企業の株式時価総額が純資産価値(総資産-総負債)の何倍で評価されているかを示す指標だ。ビットコイントレジャリー企業の場合、純資産の大部分を保有BTCが占めるため、mNAVは「株式を通じたBTC保有の効率性」を示す。mNAVが1を下回ると理論上は割安だが、実際には「市場が企業の将来的なBTC買い増し能力を疑っている」ことを意味し、投資家は「この企業が今後も効率的にBTCを増やせるか不透明だ」と判断して株式購入を控える。これも新たな資金流入を妨げる要因となる。
以上を踏まえると、各社の状況は非常に苦しいと評価できるだろう。BTCの価格上昇さえ起きれば状況は一変するものの、価格低迷が続いた場合には新たな戦略が求められることになりそうだ。
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